映画を観たいと思っていて、祝日などに時間を作って観ることがあります。
先日の三連休の時に見たのはこちらの映画
題材は野球。
映画の舞台の2002年当時、メジャーリーグの世界は、資金力がモノを言う世界で、大金を払ってスター選手を獲得できなければ強いチームを作ることは難しかった。
強豪ヤンキースの3分の1しか予算がないアスレチックスのジェネラルマネージャー(GM)、ビリー(ブラピが演じている)は、低予算でのチームの立て直しを余儀なくされる。
そんな中、イエール大学経済学部卒業のスタッフ、ピーターに出会い、彼が主張するデータ重視の考え方に突破口を見出す。
ピーターは統計データから選手を客観的に評価する「セイバーメトリクス」という手法を用いて、他のスカウトとは違う尺度で選手を評価した。
有名選手を高い年棒で雇う代わりに、データに裏打ちされた新たな指標を使うことで、無名だけど実力がある「コスパのよい選手」を発掘し、低予算でチームを改革しようとしたのだ。
当時のスカウトの会話といえば、
「あのバッターは鋭いスイングでかっ飛ばす」
「あのピッチャーの球はキレがすごい。俺の経験的にメジャーでも活躍するはずだ」
といったもので、長年の勘という主観的な評価で判断し、スカウトする風潮が強かった。
一方、ブラピ演じるGMとピーターは打率やホームランといった主要な指標ではなく、
出塁率+長打率からなるOPS(On-base plus slugging)などの指標を使って、得点、勝利に貢献する確率が高い選手を特定し、獲得していった。
他にも投げ方が変(アンダースロー)という理由で過小評価されて年棒が低いリリーフピッチャーを格安で獲得したりした。
普通、バッターは打率で、ピッチャーは防御率で評価されるけど、野球で使われる「率」はそれだけではない。
長打率、得点圏打率、出塁率、盗塁成功率、被本塁打率、与四球率などなど、実は野球ってめちゃくちゃデータ分析と相性がいいんですね。
他にもブラピは、「バント、盗塁はデータ的に無意味」
「打率より出塁率が本質」
「結局全員ホームランを狙った方が効率的」
(いわゆる「身も蓋もない」無粋な感じですが、リーグ戦を前提とした話で、プレーオフや高校野球みたいなトーナメントとかだと、また違ってくるみたいです)
といった斬新な考えでチームを導いた。この考え方は革新的過ぎたために反発も強く、球界やファンにバカにされ、全然注目されなかった。
しかし、ブラピとチームは信念を貫いた結果、最終的に20連勝という記録的偉業を成し遂げることになった。
これには野球界も驚き、レッドソックスのオーナーが大金を払ってGMのブラピを獲得しようとした。
「あなたのチーム、アスレチックスはヤンキースと同じ勝ち数をあげたが、彼らは1勝するのに140万ドルを使い、あなたは26万ドルを使っただけだ。
いろいろ言われただろうが、最初に何かを成す者は常にたたかれる。今に皆この方法で球団を作り直すことになるだろう」
結局ブラピはお金の誘惑には負けず、レッドソックスには移籍しなかったけれど、
オーナーが言ったとおり、実際、多くのチームでセイバーメトリクスは採用されることになり、今やメジャーリーグでこの手法を採用していないチームはないという。
…という感じのあらすじで、個人的にかなりおもしろい映画だった。
この映画はほぼノンフィクションで、2002年の話なんだけど、映画化された影響と、テクノロジーの進歩もあいまって、その後もデータ化の流れはどんどん加速した。
では、果たしてそれで野球は面白くなったのだろうか?
ここのところは一考の余地があるように思うので、また稿を改めて書きたい。
続く